2021年度 第2回定例研究会:シリアスゲームはどのように受容されてきたのか

来たる2021年10月4日、立命館大学ゲーム研究センターによる2021年度第2回定例研究会をオンラインにて実施いたします。発表者は、立命館大学先端総合学術研究科 初任研究員のシン・ジュヒョン氏です。登録・参加料不要となっております。お誘い合わせの上、奮ってご参加のほど、お待ちしております。

日付 date

2021年10月4日(月)18:00〜

場所 place

zoomによるオンライン開催

https://ritsumei-ac-jp.zoom.us/j/98344737979?pwd=cUVuZFNRTllWWkZGb2pVc2RaNUpmUT09

発表者 presenter

シン・ジュヒョン(立命館大学先端総合学術研究科 初任研究員)

概要 abstract

 今回の研究会では主に発表者の博士論文について述べる。発表者は、これまで、韓国を事例に、シリアスゲームを対象とする従来の研究では十分に論じられてこなかったシリアス・ボードゲームや、アナログとデジタルを横断するシリアスゲームを含めたシリアスゲームの歴史と、聞き取り調査や参与観察を通じてシリアスゲームの社会的受容に関わる課題を多角的に検討することを試みた。具体的には、①即自的なフィードバックが得られ、達成目標が明確なゲームは人気が高く商業的にも成功しやすいが、複雑な社会的現実に照らして「立ち止まって考える」ことを求めるゲームは成功しにくいといった「学びの質」と「ゲームの面白さ」の矛盾や、②デジタルゲームの否定的なイメージの鏡像として注目されたアナログゲームでは、その特性を生かしたシリアスゲーム教育が十分に開拓されていないという課題、③PC房、ボードゲーム房として代表される様々なゲームプレイの場の「場所性」がゲームそれ自体のイメージや評価に与える複雑な影響、④歴史的出来事と学習に資する「リアリティの再現」の困難な両立や、社会的かつ政治的に論争を含みのテーマに関する倫理的な配慮の問題なについて検討した。これらを通じてシリアスゲーム が社会に受容され活用されるためには、当該社会における「望ましい学び」をめぐる教育観や、ゲームやゲームプレイの場に関わる社会的なイメージ、ゲームの題材に関わる倫理的・政治的配慮に関する研究が不可欠であることを指摘し、学習効果などの検証実験に偏重してきた問題点を考察した。以上の内容を下敷きに、今後のシリアスゲームの新たな可能性について議論したい。