現役大学生たちの「未知への挑戦」を体験!C-BIT展ゲームレポート

立命館大学ゲーム研究センター(遊創研プロジェクト)主催による若手クリエイターの展示イベント「C-BIT展」が、2026年1月30日から2月8日までHOTEL ANTEROOM KYOTOのGALLERY 9.5にて開催されました。

一般的に、ゲームはその完成度などをもとに評価されます。しかし、ここで展示されたゲームはすべて未完成のものでした。

その理由は、C-BIT展が掲げたサブテーマ「Chartless|未知への挑戦」にあります。このサブテーマにおけるChartlessとは、今の地図に載っていない状態のこと。すなわち、既存の評価軸から離れ、より自由にまだ見ぬ新しいゲームを創造していく過程こそが、C-BIT展が提示するものなのです。

では、まだ見ぬ場所を目指すゲームはどのようなものなのでしょうか。本記事では、出展された6つのゲームについてレポートします。

Dribble Slash

Dribble Slashは、サッカーのドリブルをテーマにしたゲーム。足マットの上でステップを踏み、フェイントや重心移動を行い、敵をかわして進んでいきます。

フェイントをかけるには、マットの上で足を動かすだけでなく、正面モニター上に設置されたカメラで体の重心もきちんと移動させていると判定されなければいけません。また、敵には単純に交わせるものと、一度逆方向にフェイントをかけなければ交わせない敵の2種類がいます。さらに、レベルが上がれば、指定された方向に交わさないと前に進むことができません。

ルールはわかりやすく、操作方法もシンプル。しかし、実際にプレイしてみると予想以上に頭と体を使います。プレイ時間は決して長くありませんが、クリア後の達成感や満足感は非常に高いです。

また、サッカーというテーマやデフォルメ系のキャラクターデザインは親しみやすく、特に親子連れの宿泊者に人気のようで、チェックイン前やチェックアウト後らしき子どもたちがブースを入れ替わり立ち替わり見ていたのも印象的でした。

制作チーム:割石大貴

Close Your Eyes And Listen

Close Your Eyes And Listenはホラーゲーム。ただ、一般的にホラーゲームはプレイ時に怖い画像や場面を「見る」ものですが、このゲームは「見てはいけない」というのがルール。

なぜ、見てはいけないのか。それは、幽霊を見るとSAN値が下がってしまうから。ですから、幽霊を見ないように目を閉じておかなければいけません。

幽霊を見なくていいなら怖くはないかもしれない、というプレイ前の甘い考えは、すぐに打ち壊されました。

まず、ステージの廃墟のビジュアルが非常に恐ろしい。思わず最初から目を閉じたくなりますが、ここは我慢です。幽霊がいない場面で目を閉じてもSAN値は下がるため、ギリギリまで耐えてから目を閉じなければいけません。

部屋の中の物音に耳を澄ませ、「何か来る」と思った瞬間に目を閉じます。すると、ヘッドホンからゆっくりこちらに近づいてくる重い湿った足音や、すぐ耳元でねっとりとしたため息が聞こえてきて、緊張感が高まります。近づいてきた、今自分の横にいる、立ち位置を変えた……音だけではありますが、頭の中にはさまざまな想像がかけめぐり、現実には存在しないはずの幽霊の気配すら感じられる気がしました。

もし、目を開けていたら、自分は何を見ただろうか。具体的な姿を見なかったからこそ、いつまでも消えない恐怖がつきまといました。

制作チーム:Close Your Eyes And Listen

Tornad.io

Tornad.ioは、ハンドスピナーを回し、その回転と傾きで竜巻を操作するゲーム。竜巻は街にあるさまざまなものも吹き飛ばして成長し、時には他の竜巻にぶつかって勝負し、街を破壊していきます。

ゲームのルールは、制限時間内に竜巻を操作して街を破壊し、そのスコアを競うというとてもシンプルなもの。最初のうちは、ハンドスピナーを「回す」「傾ける」という2つの動作をしなければいけないことにやや混乱もしましたが、じきにコツがつかめました。

ドット絵を使った画面にはレトロな雰囲気が漂い、ハンドスピナーを回す動作もあいまって、初めてプレイするのに、どこか懐かしさを覚えます。街を壊しながら進んで行く竜巻の姿は気持ちよく、次はどこへ進んで何を破壊しようかとワクワクします。破壊した結果はスコアとして数値化されるので、終わった瞬間に「もう一度プレイすれば、さらに高いスコアを出せるのでは?」ともう一回プレイしたくなってきました。

ひとつのゲームの中で「ハンドスピナーを回す」というアナログな楽しさと、「画面内の竜巻を操作して街を破壊する」というデジタルゲームの楽しさが味わえる。手軽ながらも、大きな満足感が得られました。

制作チーム名:Tornad.io

STRAP STRIKER

STRAP STRIKERは、電車のつり革で操作するゲーム。つり革を握ったり離したり、左右に振ったりしてキャラクターを動かし、満員電車で乗り合わせた他の乗客を倒していくというゲームです。

ゲームの舞台になっている満員電車のように、天井から本物のつり革を多く吊り下げ、そのうちのひとつをコントローラーとして使って遊びます。展示空間には、壁際に電車の座席をイメージした座席を置き、壁には車窓風景をイメージした動画を流すなど、本当に電車に乗っているような感覚になれる演出もされています。

没入感のある空間で実際につり革を持ってみると、ホテル併設のギャラリーでありながら、ゲームと現実が交差するような感覚に一瞬陥りそうです。

天井から多くのつり革がぶら下がっている展示はインパクトも強く、宿泊者からも注目の的でした。入れ替わり立ち替わり「これは何だろう?」とつり革に触れる人の姿が見られました。

制作チーム:HANGOVER

ニギ

「握る」という動作で斧と弓を使い、秘境探検を行っていくゲーム。コントローラーであるハンドグリップを手に、左右の腕の構え方と動かし方で斧と弓を使い分け、ぐっと握って攻撃します。力が強くなればそれぞれの武器の威力も増していきます。

操作そのものは決して複雑ではありません。しかし、ハンドグリップを握り腕を動かすという動作があることで、ゲームの満足感は一気に上がります。

斧や弓をどう使うかを瞬時に判断し構え方を変え、タイミングよく握る。最初は思わず「あ、違う」「あ、ここは斧……?」と声が出てしまいましたが、慣れると構えて腕を動かし握って攻撃するという一連の動きがつながり、次第に心地よくなってきます。家族や友人と集まって遊ぶと、大いに盛り上がりそうだと感じました。

コントローラーとなるハンドグリップは複数種類用意され、握力に合わせて選べるのもこのゲームのユニークなところ。子どものような握力が低い人から、ある程度鍛えて握力に自信がある人まで自分に合った負荷が選べます。さらに、ゲームをやりこんで握力が向上した場合は使うハンドグリップを変更できるため、ゲームのやりこみ度合いをスコアだけでなく、コントローラーの変化でも実感できるようになっています。

制作チーム:ニギ

あみだのジカン

ゲーム画面に表示されているのは、あみだくじの縦線のみ。そこに横線を加えて、上部にいるキャラがどう動き、どこにゴールするかを見守る。「あみだのジカン」はこのようなゲームです。

キャラが動いている間は、特に派手なアクションが起きるわけではありません。淡々とあみだくじの線に従って動き、互いに交差した瞬間に、画面横に小さなストーリーが表示されるだけです。しかも、そのストーリーも決してドラマチックなものではなく、日常のささやかなワンシーンを切り取ったような短いもの。

しかしこのささやかさが、不思議と心に響きます。ひとつのあみだくじが終わったら「次はここに線を引いてみようかな」「このキャラとこのキャラが出会ったらどんなストーリーになるのだろう」と、もう一度プレイしたくなる不思議な魅力にあふれています。

将来的には、友情などのスコアを設定して「このストーリーに出会ったら友情スコアが増える」というような楽しみ方や、ストーリーなどを自分で作成するモードを追加することも検討中とのこと。自分で自由に要素を加えることができたら、より面白く遊べるようになるのではないかと感じたゲームです。

また、ゲーム用端末の横に置いてあったファイルには、遊んだ人たちによるキャラの塗り絵が多く残されていたのも印象的でした。高校の教室をイメージした展示と相まって、心地良い雰囲気が漂う空間がそこにはありました。

制作チーム:あみだのジカン

まとめ

C-BIT展はホテルのギャラリーというユニークな場で行われた展示であったため、興味を引かれてプレイしてみる宿泊客の姿もしばしば見受けられました。出展されたゲームはどれも、今後さらに要素の追加や改善を繰り返し、完成へと近づいていくでしょう。そこにはきっと、C-BIT展で得たフィードバックも活かされるはずです。

今回の展示とそこで得たフィードバックが、地図にない場所を目指すゲーム開発にどのような影響を与えるのか。未完成の各作品が、それぞれの個性をどう活かしつつ完成形へと変化していくのか。期間終了後も興味深く見守りたいと感じさせる展示でした。