ゲーム資料の寄贈に関するご説明

この度は、本センターのゲーム関連資料の寄贈に関する情報発信に対して、様々なご意見、ご助言をいただき、まことにありがとうございました。

現在、早々に寄贈の申込み、ご相談をいただいておりますが、それとともに、寄贈の告知の内容に対するご批判、ご意見もいただきました。ご批判につきましては、学内諸規定に則った手順である「現物寄附」のご説明の表現の問題と合わせて、基本的にセンターとしての説明不足に起因する問題だと感じております。誠に申し訳ありません。また、この間の経緯において、ゲーム関連資料の寄贈を検討していただいた方々、ゲームに関する様々な研究、実践に建設的に取り組んでおられる方々に不愉快な思い、ご迷惑をおかけしたことを立命館大学ゲーム研究センターとして深くお詫び申し上げます。

以下、やや長文になりますが、今回の寄贈のご案内を発信することになりました経緯と背景をご説明いたします。

本学では、1998年から「ゲームアーカイブ・プロジェクト」として、ゲーム保存のための研究活動を小規模ながら実践して参りました。同プロジェクトについては下記ウェブサイトに過去情報がありますが、研究用のゲームソフト、ハードおよび資料を収集するとともに、国内初の本格的なビデオゲーム展覧会「レベルX」への協力、ゲーム保存研究用の任天堂ファミリーコンピュータの公認エミュレータ「FDL」の開発、ビデオゲームに関するシンポジウム・カンファレンスの開催など様々な活動を行ってきた経緯があります。

ゲームアーカイブ・プロジェクトとは

また、その活動の中で、アカデミズムとしての議論が非常に立ち後れていた「ゲーム保存」についての体系的な研究を進め、わかりやすくまとめたものとして下記を公表しています。他にも同一テーマに関連して多数の学会発表、学術論文、著書、報告書があります。

デジタルゲームのアーカイブについて:国際的な動向とその本質的な課題」『カレントアウェアネス』国立国会図書館 (PDF

デジタル・ヒューマニティーズ研究とWeb技術』ナカニシヤ出版

概要といたしましては、「現物保存」・「エミュレータ」・「ビデオ映像」といったゲームに固有の保存手段を確立させつつ、それらを複合的に組み合わせてゲームの「保存」・「展示」・「利活用」という目的を達成するものが、ゲームアーカイブであると考えてきました。また、アーカイブの対象としては、完成品以外にも、開発途中に生み出された資料や開発プロセスに関わる言語化されない情報(オーラルヒストリー)なども極めて重要であると考え、開発者、企業家の方々を対象としたヒアリングや研究会を数多く実施してきました。

さらに、上記の論点以外にも、単に一拠点での保存を構想するにはゲーム文化があまりにグローバルに拡張しているという課題があります。そのため、網羅的なデータベースを整備した上で、国内外の所蔵拠点とのネットワーク形成を推進し、それらの所蔵状況を共有することで、ユーザのゲーム資料へのアクセス性を向上させることも大きな意味で保存に寄与する活動であると考えています。この観点からは、公的図書館や国内外の大学、ゲーム保存専門機関の関係者、研究者とのネットワーク構築および共同研究も進めてきています。

ゲーム保存国際カンファレンス:ビデオゲーム~保存?忘却?世界はどう考えているか

2011年4月には、以上の活動を含めた本学でのゲーム関連研究のさらなる活性化を目指して、立命館大学衣笠総合研究機構内に「ゲーム研究センター」が開設されました(以降、ゲームアーカイブ・プロジェクトは同センターのアーカイブ研究を担当しています)。

このような本学のゲーム研究に対する社会的関心の高まりとともに、新聞等のマスメディアで本センターのゲーム保存研究の活動が広く紹介されることになりました。その後、それらの記事を受ける形で、多くの一般の方々からゲームソフトやハード類の寄贈の申込み、ご相談を継続的にいただいている状態になっております。研究条件と予算に限りのある本センターの現状を考えますと、大変ありがたいことではありますが、なかには、事前に連絡をいただかないままゲームソフト、ハード類を送付される方もおられるなど、このまま無原則に資料を受領いたしますと、その扱いに本センターとしての責任を負いかねる状況が生じることが懸念されるようになりました。

このような経緯から、研究機関である大学の役割と責任を踏まえた上で、学内機関と調整し、学内諸規定に則った形で受入が可能な「現物寄附」の手続きを告知させていただきました。最初にウェブサイトに掲載した文章がこのような経緯と背景を十分にご理解いただける内容になっていなかったこと、またその表現についても至らないところがありましたので、改めて別ページにてゲーム資料の寄贈を検討いただく際のお願い事項を記載させていただきました。

受け入れさせていただく資料につきましては、研究者、大学院生、学生のゲーム研究資料としての利用、例えば、本センターのメンバーが中心となり発刊いたしました『ファミコンとその時代』(NTT出版)のようなゲーム史研究のための基礎資料、また、ゲームに関連する各種展覧会への協力などさまざまな形で活用させていただくことを想定いたしております。とりわけ、ゲームに慣れ親しんで成長し、大学でゲームの研究や開発を志す若い学生たちが、自らが生まれる以前のものも含めた様々なゲームタイトルに接することで、その創造性の源泉を学び、多くのインスピレーションを得ていくことができる、そのような場としても本センターの役割があると考えています。

日本においては、ゲーム研究自体がまだしっかりとした社会的位置づけを確立しているとは言いがたい状況ですが、ゲーム保存の研究、実践はさらに困難で、多様な問題領域を横断する課題です。また、家庭用ゲーム機以外の大型筐体を持つゲームや最近のネットワーク上のゲームなどをどのように保存の対象として考えていくか、またそのための恒常的な組織や仕組みを社会的にどうデザインするかなど、未整理の大きな問題も残されています。

本センターは、微力ではありますが、このような課題を継続的に研究していきたいと考えております。そのためには、なによりもゲーム分野、ゲーム保存の研究実践分野において同様の課題に対して取り組んでおられる個人、組織の方々との連携が非常に重要であると考えています。ゲームに関わるいろいろなお立場の方々にとって有益な役割を果たしていけるように今後も努力していく所存ですので、本センターの活動に関するご意見やご提案がございましたら、是非お寄せいただくようにお願いいたします。

〒603-8577
京都市北区等持院北町56-1 立命館大学ゲーム研究センター
E-mail: rcgsst.ritsumei.ac.jp